さ霧消ゆる湊江の 舟に白し 朝の霜 ただ水鳥の 声はして いまだ覚めず 岸の家 烏(からす)鳴きて 木に高く 人は畑に 麦を踏む げに小春日(こはるび)の のどけしや かへり咲の 花も見ゆ 嵐吹きて 雲は落ち、 時雨降りて 日は暮れぬ 若し(もし)燈(ともしび)の 漏れ来(こ)ずば それと分かじ 野辺(のべ)の里